私たちは日常生活で普通預金や定期預金などをよく利用しています。
一方で、企業間の取引では多額の支払いが生じるので、当座預金というものを用いています。
今回はこの当座預金について解説します。

当座預金口座に預け入れた時

当座預金とは、預金の一種で、以下のような特徴があります。
・預金を引き出すときに小切手が必要
・利息がつかない
したがって、当座預金は実質的に現金と同様で、いつでも支払い手段として利用することが出来ます。

また、小切手の形式は次の通りです。

<参考> 預金の種類
・普通預金
低利子であるが利息がつく。一般的に普通預金通帳と印鑑、キャッシュカードなどを用いる。
・定期預金
預入期間(1ヵ月,3か月,6か月,1年,2年など)をあらかじめ決め、この期間内は引き出すことが出来ない。一般的に定期預金証書を用いる。
・当座預金
無利息の要求払い預金である。預金の引き出しには小切手を用いる。
・通知預金
預け入れ後、1週間据え置かれ、その後は2日前に通知すれば引き出すことが出来る大口の預金である。一般的に、通知預金通帳と通知預金証書を用いる。

まず初めに、当座預金口座にお金を預け入れた時の仕訳から見ていきましょう。

① A商店は、佐藤銀行と当座取引契約を結び、現金100円を当座預金口座に預け入れた。

(当座預金)100 (現金)100

当座預金とうざよきんはたくさんあると嬉しいものなので、当座預金は資産に分類されます。
現金を当座預金に預け入れた時は、手持ちの現金(資産)が減り、当座預金(資産)が増えます。

小切手を振り出した時

まず初めに、下記の②取引でA商店の仕訳について考えます。

② A商店は、B商店に対する買掛金100円を支払うために、小切手を振り出して渡した。

(買掛金)100 (当座預金)100

小切手を受け取った人(B商店)は、銀行にその小切手を持っていくと、現金を受け取ることが出来ます。
そして、その現金は小切手を振り出した人(A商店)の当座預金口座から引き出されます。

したがって、小切手を振り出した人(A商店)は、小切手を振り出した時に当座預金が引き出されたとして、当座預金(資産)を減らします。
それに伴い買掛金(負債)も一緒に減らします。

続いて、上記の②取引でB商店の仕訳についてです。

(現金)100 (売掛金)100

B商店は、A商店より小切手を受け取っています。他人が振り出した小切手を受け取ったときは、現金として処理します。
したがってB商店は、現金(資産)が増え、売掛金(資産)が減る仕訳をします。

【重要】受取小切手の処理方法
小切手を受け取った時は、誰が振り出した小切手なのかによって処理の方法が異なります。
・自己振出小切手…当座預金で処理
・他人振出小切手…現金で処理

当座預金残高を超えて引き出した時

通常、当座預金の残高を超えて当座預金を引き出すことは出来ないです。
しかし、あらかじめ銀行との間で当座借越契約を結んでいれば、一定額まで当座預金残高を超えてお金を引き出すことが出来ます。

仕訳の方法には二勘定制と一勘定制の2通りあります。
主に二勘定制が用いられるので、まずは二勘定制から確認しましょう。

二勘定制の処理

③ A商店は、買掛金120円を小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の残高は100円であったが、A商店は佐藤銀行と借越限度額300円の当座借越契約を結んでいる。

(買掛金)120 (当座預金)100
       (当座借越)20

ここで、当座借越とうざかりこしという新たな勘定科目が出てきました。
当座借越とは、当座預金の残高を超えて当座預金を引き出すことであり、負債に分類されます。

当座預金の残高を超えて引き出したときは、まず、当座預金の残高が0円になるまでは当座預金(資産)を減らします。
そして、当座預金の残高を超える金額は当座借越という負債の勘定科目で処理します。

このように、当座預金と当座借越の2つの勘定科目を使って処理する方法を二勘定制と言います。

続いて、当座借越がある場合の当座預金口座へ預け入れた時の仕訳を見ていきます。

④ A商店は、佐藤銀行の当座預金口座に現金200円を預け入れた。なお、A商店は佐藤銀行と借越限度額300円の当座借越契約を結んでおり、当座借越の残高は20円であった。

(当座借越)20 (現金)200
(当座預金)180

当座借越の残高がある場合に、当座預金口座に現金を預け入れた時は、まず当座借越(負債)を20円返して、残り180円を当座預金(資産)に預け入れたとして処理します。

一勘定制の処理

当座預金の預け入れや引き出しにおいて、当座という勘定科目のみで処理する方法もあります。
この方法を一勘定制と言います。
以下で一勘定制の仕訳について確認しましょう。

⑤ A商店は、買掛金120円を小切手を振り出して支払った。なお、当座の残高は100円であったが、A商店は佐藤銀行と借越限度額300円の当座借越契約を結んでいる。

(買掛金)120 (当座)120

⑥ A商店は、佐藤銀行の当座預金口座に現金200円を預け入れた。なお、A商店は佐藤銀行と借越限度額300円の当座借越契約を結んでおり、当座借越の残高は20円であった。

(当座)200 (現金)200

一勘定制では、プラスもマイナスも当座で処理します。

今回、新たに出てきた勘定科目

・資産
当座預金(当座)

・負債
当座借越

・純資産(資本)

・費用

・収益

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